サッカースパイクだけでは素足感覚にはならない理由
2023.05.22
サッカースパイクに求める素足感覚
サッカースパイクを選びのポイントは、大きくピッチコンディションに適したアウターソールと素足感覚の履き心地の2つになるかと思います。繊細なボールタッチから繰り出されるキック、トラップで描いたプレイを体現するフットボールアーティストの小野伸二選手がスパイクについてお話されている動画が配信されています。とても興味深い内容になっていますので、ぜひ、視聴してみてください。
小野伸二が熱く語るスパイクのこだわり!【サッカースパイク】
(ゲキサカYOUTUBE )
創造性豊かなプレイを実現するために繊細なボールタッチを特長とする小野伸二選手はサッカースパイク選びにおいて、素足感覚(まるで履いていないような履き心地)を大切にされていることがわかります。そして、ピッチを捉えるアウターソール、踵の安定性についても語られています。
ピッチ状態に合わせたアウターソール選び【ビッチの分類】
ハードグラウンド(HG)
ファームグランド(FG)
アーティフィシャルグラス(AG)
ソフトグラウンド(SG)
ターフグラウンド(TF)
インドア
木材やスポーツコート、アスファルトなど平らなピッチ
足の動きを妨げないアッパー素材選び【アッパー(足表面)の素材】
カンガルー革
最高品質素材、薄さ、軽さ、豊かな柔軟性、足に馴染みが最良。
カーフ革
最高品質素材、仔牛の革、豊かな柔軟性、カンガルー革より耐久性あり、足馴染みが最良。
ステア革
耐久性に優れ、柔軟性あり、使い込むことで足に馴染みが良い。
人工皮革
軽量、耐久性、防水性、型崩れしにくい。手入れが簡単。
ニット素材
軽量、伸張性、カラフル。
自分の足型に適したスパイクを選び【フィッティング要素】
サッカースパイクの品質を確認し、自分の足型に適したスパイクを選ぶこと
足長(レングス):足の長さcm
足幅(ワイズ):横幅 E
踵
甲の高さ
サッカースパイクだけでは素足感覚にはならない理由
素足感覚の品質のサッカースパイクを選ぶことができても、サッカースパイクと足の間にはソックスが存在するため、ソックスの品質に課題があったり不適切な着用方法では、サッカースパイク本来の履き心地にはなりません。ソックスがズレていたり、たるんでいたりすると違和感だけでなく、靴擦れで肌を痛めてしまいます。不適切な素材や編み方のサッカーソックスですと、シューズ内で足が滑ってしまったり、汗などで蒸れてしまうとよい履き心地ではなくなります。このようにソックスがサッカースパイクの素足感覚を邪魔していることもあります。
サッカースパイクの素足感覚の品質を体感する足に直接ふれているのはスパイクではなくソックスということを考えると、サッカーソックス選びも大切であるといえます。
素足感覚のソックスの選びのポイント【セパレートソックスの価値判断基準】
素足感覚のソックスの選びのポイントは、機能ではなく品質で選ぶことです。シューズ内の足を覆う部分のセパレートソックスの役割は、靴擦れなどによる肌のトラブル予防と足とシューズの最適化を図ることです。
私が考案したLTSS(完成されたセパレートサッカーソックスの構造(詳しくはコチラから)では、足とシューズの最適化を実現する素足感覚のセレートソックスについて6つの品質を定めています。
1)競技規則第4条と大会規程を遵守
2)靴内の肌の保護と着用時の肌触り
3)たるみ・ずれ・ずり落ちなし(左右別)
4)運動に適切な伸縮と耐久性
5)調湿調温
6)セパレートサッカーソックス仕様の履き口
ここでの2、3、4、5項目が足とシューズの最適化を作り出す素足感覚のソックスの要素です。
靴内の肌の保護と着用時の肌触り
「靴内の肌の保護と着用時の肌触り」は足に与える感触の良さの品質です。サッカースパイクの内側はソックスを履くことを前提に製造されています。耐久性を考慮した素材、縫製によるわずかな段差もあることからシューズと足の間に存在して肌に直に触れるソックスの肌触りの良さや肌のトラブル予防は素足感覚の重要な要素です。
たるみ・ずれ・ずり落ちなし(左右別)
「たるみ・ずれ・ずり落ちなし(左右別)」は、ソックスを履いていないかのような履き心地、足とソックスのフィット感を作り出す品質です。シューズ内の足を覆う部分のたるみや、ずれは、履き心地の悪さだけでなく靴擦れの原因になり皮膚のトラブルによってプレーできなくなることにもつながります。ずり落ちは、足首部分の不快な感触、踵にまで及ぼすことがあれば、靴擦れの原因にもなります。左右非対称で立体製法であるか否かをたるみ・ずれ・ずり落ちなしの品質の見極めの一つの基準にしてみてください。
運動に適切な伸縮と耐久性
「運動に適切な伸縮と耐久性」は、たるみ・ずれ・ずり落ちなしとの共存でプレー中も足とソックスがフィットしている状態を維持する品質です。足の構造は細かな関節や腱によって構成され、足や足関節はダイナミックに動く部分や状態によって柔らかくゆっくり形状が変わる部分など多様な動きをします。その足の動きや機能に適応する品質でもあります。さらに、柔軟性に相反する耐久性とのバランスをとることでサッカーに適したソックスの品質を実現する項目としています。
調湿調温
「調湿調温」は、汗や蒸れ対策の品質です。素材や編み方の工夫によって吸汗性や速乾性を高めることで足が蒸れてしまうことでの不快感や足がふやけてしまうことで生じる皮膚のトラブルを解消することの必要性をあげています。この4つの項目の条件を備えているソックスをサッカースパイクのインナーとして着用することで、素足感覚のサッカースパイクの本来の品質を選手が体感できます。
サッカーソックスを履いた足への意識の向上
最近、サッカースパイク内で足が滑るということからグリップソックスを選ぶ選手が増えていると聞きます。アシックス社、ミズノ社といった老舗スポーツメーカーのサッカースパイクの品質からは考えづらい現象で、確かな品質のサッカースパイクとソックス、正しいシューズ選びで足とシューズがフィットしていれば起きる現象ではないはずです。
もしかするとサッカースパイクと足が滑っているのではなく、足とソックスがズレているのではないかと考えてしまいます。足裏の素足感覚も大切にしたい選手は、サッカースパイクと足がズレているのか?サッカーソックスと足がズレているのか確かめてみるとよいかと思います。
素足感覚のセパレートソックスの6つの項目の中でも「ずれない、たるまない、ずり落ちない」はとても重要な品質です。サッカーソックスだけでなく、日常使いの靴下が靴内でズレたり、回ってしまうといった経験をしたことはないでしょうか。足先の形状(5本指、足袋など)や、機能(グリップやテーピング効果)などの前に、足にフィットする高品質なソックスを選ぶことが大切です。
シューズを履く前に「ソックスを履いた足への意識」を向上
サッカーシューズを素足感覚で着用するためにソックスを履いた足を確認してください。
サッカーシューズを履く際のソックスと足の確認事項
ソックスのかかとの部分がズレていないか?
土踏まず(アーチ)部分でたるんでないか?
前足部(横アーチ)はフィットしているか?
指先(足指)は、ブカッとしていないか?
五本指ソックスの場合、指先のダブつき、窮屈、指の間に違和感はないか?
ソックスと足が滑っていないか?
ソックスも、シューズを履く時と同じようにかかと、中足部、前足部、指先のフィット感が大切です。ソックスを履いた足を素足のような状態にしてから素足感覚のサッカーシューズを着用することで足とシューズのフィット感をよくすることができます。シューズを履く前に「ソックスを履いた足への意識」を高めることで、サッカースパイクの素足感覚をより感じられると思います。
フットボールクリエイター 角田壮監
足とシューズの最適化で競技者本来の力を引き出すという視点から世界初のサッカーソックスの構造を分離させ完成されたセパレートサッカーソックスLeg Tool Separation Systemを考案。
「競技者本来の力を引き出す」ためにを理念に、グローバルシーンで実績を残している様々な競技のトップアスリートや競技団体のマネジメントやディレクションで培った「競技力向上のための組織づくり」をはじめ、社会にスポーツが持つ有益な効果を生み出すためにスポーツシステムコーディネーター、スポーツプロデューサー、プロジェクトコンサルタントとして、次世代ニーズを見据えた魅力ある競技スポーツシーンの創出に努めている。現在、(公財)日本水泳連盟競技力向上コーチ委員会に所属。