サッカースパイクの中で足が滑る? ──ズレの原因と対策、“足の機能”から見直すLTSS的アプローチ

2025.07.08

見た目がかっこいい最新モデルのサッカースパイク。名選手と同じモデルを履くことで気分が高まり、モチベーションも上がる──

そんなお気に入りのスパイクでも、「シューズの中で足が滑ってしまう」という悩みを抱えていませんか?

実はそれ、サイズや素材だけの問題ではなく、足の構造や“機能”にも原因があるかもしれません。

本記事では、「スパイクの中で足が滑る」原因とその対策を整理しつつ、足とシューズの関係を“機能”の視点から見直すLTSS的アプローチもご紹介します。

シューズ内で足が滑る原因とは?

シューズの中で足がズレたり滑ったりすると、思うようなパフォーマンスが発揮できません。

「よいプレーができない」のではなく、「よいプレーができる状態にない」のです。

原因は多岐にわたります。代表的な要因を見ていきましょう。

サイズが合っていない

足のサイズに対してシューズが合っていないと、滑りの原因になります。

これは縦の長さだけでなく、横幅や甲の高さ、踵の収まりまで含めてフィットしている必要があります。

特に踵のフィット感は軽視されがちですが、ここが緩いと足が前方にズレて滑る大きな要因になります。

足のサイズが左右で違う

人の足は、左右で微妙に形や大きさが異なります。

アーチの高さや外反母趾、足指の形状の差によって、片方の足だけ滑りやすくなることもあります。

足のむくみでサイズ感が変わる

夕方から夜にかけては、血流や水分の関係で足がむくみやすくなります。

一日の中でも足のサイズや形状は変化しており、特に午後から夜にかけては足が大きくなる傾向があります。このため、シューズのフィット感は時間帯によって異なることがあります。

夕方のむくんだ状態で合わせたシューズが、朝になると緩く感じる──

あるいは、逆に朝のスリムな足で試し履きしたスパイクが、試合後半になると窮屈になる、ということも。自分の足がいつ・どのように変化するのかを知ることは、シューズ選びや履き方にとって重要なヒントになります。

ソックスやインソールが原因

日常用の靴下を使っていたり、滑りやすい素材のソックス、表面が滑るインソールを使用していると、シューズ内での安定感が失われます。

素材の相性や設計の精度によって、滑りを招くことがあります。

シューズ内の滑りを防ぐ対策とは?

ここからは、原因に応じた具体的な対策方法を紹介します。

1. 足にぴったり合うシューズを選ぶ

自分の足のサイズを正しく測ることが第一歩です。可能であれば、夕方のむくみが落ち着いた状態で試着を行い、縦・横・高さ・踵の収まりまで確認しましょう。

サイズ選びを間違うと、足の本来の機能が発揮できなくなります。

2. シューレースのあるスパイクを選ぶ/正しく履く

スリッポンタイプもありますが、シューレース(靴ひも)での調整ができるモデルは、足とシューズの一体感を得やすくなります。

また、踵をしっかり合わせ、トントンと床に当ててから紐を均等に締める──

そんな“履き方”自体も、フィット感に大きく影響します。

3. ソックスを見直す

競技用に設計されたソックス(左右非対称・立体製法など)は、足裏・足指の機能を妨げず、シューズとの一体感を高めます。

👉 サッカーソックスが“第2の皮膚”になるとは?──LTSS設計思想が目指すセパレートソックスの本質

さらに、LTSSでは、足の機能を妨げずに、シューズとの一体感を高めるために、「セパレートソックス(短いソックス)」という選択肢を提案しています。

これは、従来の“つま先から膝下まで一体型”のソックス構造から脱却し、足の構造や機能に合わせた新しいソックス設計です。

足の感覚(触覚・圧覚)を活かし、足指がしっかり動くように設計されたこのソックスは、シューズ内でのズレや滑りの抑制にもつながります。

4. インソールの素材や表面もチェック

インソールがツルツルしていたり、素材同士の相性が悪いと、足裏が動いてしまいます。滑りにくい素材や、足の動きに合わせて変形するインソールなどを選ぶことで、滑りを軽減できます。

👉 インソールに頼りすぎていないか?──“中敷き”から考えるLTSS設計思想

5. ソックスとシューレースの“調整”が有効

シューズが緩く感じる場合は、ソックスの厚み紐の締め具合を調整することで改善できることがあります。微調整を重ねながら、自分にとっての最適なバランスを探してみましょう。

「滑り」は足の鍛錬不足から来ているかもしれない

ここまで「ズレ」や「滑り」の原因と対策を紹介してきましたが、

そもそも「足の機能」そのものが低下していたら──

どんなに優れた道具を使っても、根本的な解決にはなりません。

足指で地面をつかむ力(足指力)

足裏の感覚(メカノレセプター)

踵で支える安定感

足首の自由な可動域

“足の鍛錬”とはなにか?──LTSSの設計思想が生まれた出発点を知りたい方はこちらをご覧ください。

👉 サッカー選手に知ってほしい「足の機能」──LTSS設計思想の原点

👉 足裏の感覚とは何か?──感覚受容器“メカノレセプター”とサッカー選手の関係

まとめ:LTSSが伝えたい、足と道具と鍛錬の話

シューズのズレや滑りは、「シューズ選び」や「シューズの履き方」「ソックス・インソールの見直し」でも改善できます。

しかし、最も大切なのが、**競技者としての“足の鍛錬”**です。

足指を使えるか?

足裏で感じられるか?

踵で支えられるか?

LTSS(Leg Tool Separation System)は、「足と脚を分けて考える」という設計思想のもと、競技者本来の力を引き出すことを目指しています。

私たちは、用具の最適化とともに、「足そのものの鍛錬」こそがパフォーマンスの土台であるというメッセージをこれからも発信していきます。

👉 モダンバレエ&クラシックバレエから学ぶ「サッカー選手の足、足裏・足指・踵の覚醒」トレーニング

グリップソックスをはじめ、機能性ソックスに頼る前に。

足の機能を呼び覚ますためのトレーニングアプローチを紹介しています。

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フットボールクリエイター 角田壮監

足とシューズの最適化で競技者本来の力を引き出すという視点から世界初のサッカーソックスの構造を分離させ完成されたセパレートサッカーソックスLeg Tool Separation Systemを考案。

「競技者本来の力を引き出す」ためにを理念に、グローバルシーンで実績を残している様々な競技のトップアスリートや競技団体のマネジメントやディレクションで培った「競技力向上のための組織づくり」をはじめ、社会にスポーツが持つ有益な効果を生み出すためにスポーツシステムコーディネーター、スポーツプロデューサー、プロジェクトコンサルタントとして、次世代ニーズを見据えた魅力ある競技スポーツシーンの創出に努めている。

KAKU SPORTS OFFICE MISSION

アスリート思考で心豊かな社会づくりをクリエイトする

KAKU SPORTS OFFICEは、「アスリート思考で心豊かな社会を創造する」をモットーに、競技スポーツに関わる個人・企業・団体の活動や事業を、的確な視点で分析します。そして、言語・文化・音楽・映像・活字といった多様な“シンボル”を活用し、人と人、組織と組織、企業と企業、人と組織・企業といったあらゆるつながりの中から、最大の相乗効果を生み出す組み合わせをコーディネート。新たな利益システムを構築するコミュニケーションコーディネーターとして活動しています。

また、創業者・企画者としての精神をもとに、理念や目的を共有できるパートナーの育成や、持続的かつ自走可能な組織づくりを支援するシステムコーディネーターとしても貢献。さらに、競技者一人ひとりが本来持つ力を引き出すメンターとして、競技スポーツの発展にも寄与しています。