
セパレートストッキングとチームユニフォームの未来──慣習を超える選択へ セパレートストッキング特集 第6回
2025.07.12
「それ、チームの決まりだから」
そんな一言で、選手の“履きたいソックス”が封じられる現場が少なくありません。
しかし本当にそれは“決まり”なのでしょうか?
チームユニフォームの歴史や慣習のなかで、セパレートストッキングの導入には多くの壁が存在します。
今回は「チーム指定」「ユニフォーム規定」「慣習」といった視点から、LTSS設計思想が提示する“選べるソックス”の未来像に迫ります。
目次
チーム指定とユニフォーム規定の狭間で
サッカー競技規則第4条には、ソックスについて以下の2点が明記されています。
・シンガード(すね当て)を覆うこと
・チーム内でソックスの「色」を統一すること
つまり、“メーカー”や“機能”の統一までは定められていません。
ところが現場では、「チーム指定のソックス」や「支給品以外の着用NG」という“暗黙のルール”が、選手の選択を制限する要因になっているのです。
“決まりだから”の正体──実はルールではない
選手や保護者、指導者にヒアリングを行うと、「チームの指定品があるから履けない」「見た目が違うとダメと言われる」という声を多く聞きます。
しかし、それらの多くは実際には**「慣習」や「これまでの方針」**に過ぎません。
規則や規程というより、「なんとなくの同調圧力」によって選択の自由が奪われているケースも多く、用具の進化や選択肢の多様化に追いついていない現状があります。
慣習・契約・誤解がもたらす“選べない現場”
現場では、以下のような事情が選択の自由を妨げています。
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「チーム指定品があるから変えられない」
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「わずかな見た目の違いが気になる」
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「支給品以外を使うと怒られる(指導者・保護者の声)」
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「メーカー契約があるから選べない(プロ・強豪校)」
これらは制度ではなく「慣習」によって生じているケースも多く、意思決定者の**“思い込み”や“これまでのやり方”**が、用具進化の足かせになっていることも少なくありません。
LTSS設計思想が示す「新しいチームの形」
LTSSでは、**セパレートソックスとセパレートストッキングを組み合わせた「セパレートサッカーソックス」**を提案しています。
これは、足部と下腿部、それぞれに適した最適な素材・設計を選びながらも、見た目の統一感とチームの一体感を両立できる構造です。
たとえば、RxLの製品では、セパレートストッキングの色調やリブ構造にチーム対応の工夫が施されており、「性能の自由」と「チームの統一」を両立できる形は、カラーラインナップなどの課題もあるものの、すでに現実のものになりつつあります。
意思決定者との対話──未来に向けて
用具を選ぶことは、選手のパフォーマンスを支える「準備」であり、「戦略」です。
それを実現するには、選手だけでなく、保護者や指導者、クラブ運営者などの**“意思決定者”が、その重要性を理解し、環境を整えること**が求められます。
セパレートストッキングが当たり前に選ばれる時代は、
**「誰が使うか」だけでなく、「誰に選ばせるか」**が鍵になります。
対話と理解を通じて、サッカー用具の選択が“自由”で“意味あるもの”になっていく──
その第一歩が、今ここから始まります。
【まとめ】
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ソックスの選択を妨げるのは、「規則」よりも「慣習」や「誤解」であることが多い
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セパレートサッカーソックスは、個の最適化とチームの統一を両立できる新しい選択肢
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用具進化の恩恵を受けるには、意思決定者の理解と対話が不可欠
次回は、LTSS設計思想セパレートストッキング開発の裏側── RxL 製品化への挑戦
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フットボールクリエイター 角田壮監
足とシューズの最適化で競技者本来の力を引き出すという視点から世界初のサッカーソックスの構造を分離させ完成されたセパレートサッカーソックスLeg Tool Separation Systemを考案。
「競技者本来の力を引き出す」ためにを理念に、グローバルシーンで実績を残している様々な競技のトップアスリートや競技団体のマネジメントやディレクションで培った「競技力向上のための組織づくり」をはじめ、社会にスポーツが持つ有益な効果を生み出すためにスポーツシステムコーディネーター、スポーツプロデューサー、プロジェクトコンサルタントとして、次世代ニーズを見据えた魅力ある競技スポーツシーンの創出に努めている。
KAKU SPORTS OFFICE MISSION
アスリート思考で心豊かな社会づくりをクリエイトする
KAKU SPORTS OFFICEは、「アスリート思考で心豊かな社会を創造する」をモットーに、競技スポーツに関わる個人・企業・団体の活動や事業を、的確な視点で分析します。そして、言語・文化・音楽・映像・活字といった多様な“シンボル”を活用し、人と人、組織と組織、企業と企業、人と組織・企業といったあらゆるつながりの中から、最大の相乗効果を生み出す組み合わせをコーディネート。新たな利益システムを構築するコミュニケーションコーディネーターとして活動しています。また、創業者・企画者としての精神をもとに、理念や目的を共有できるパートナーの育成や、持続的かつ自走可能な組織づくりを支援するシステムコーディネーターとしても貢献。さらに、競技者一人ひとりが本来持つ力を引き出すメンターとして、競技スポーツの発展にも寄与しています。