セパレートストッキングは“接合部”で差が出る──LTSS SEAMLESS QUALITY®設計の意味 セパレートストッキング特集|第4回

2025.07.11

違和感の正体は「つなぎ目」にあった

セパレートソックスを履いてプレーするスタイルが広がっています。

LTSS設計思想では、サッカーソックスのセパレート化を次のように定義しています。

セパレートサッカーソックス=セパレートソックス+セパレートストッキング

セパレートソックス:足部を覆う短いソックス(シューズの中に入る部分)

セパレートストッキング:下腿部とすねあてを覆う筒状のストッキング(膝下までの部分)

この“上下が分かれた構造”によって、足と脚それぞれに合った開発・設計が可能になります。

しかし、国際的にサッカーソックスのセパレート化が普及される中で、セパレートソックスだけに注目される傾向があり、大切な課題が見落とされています。

LTSSが生んだ“唯一無二”の接合構造

完成されたセパレートサッカーソックスの設計思想(LTSS)では、2016年の考案時から「切って履く」だけではサッカーソックスのセパレートは不完全であることを見抜いていました。

それは──接合部に生まれる違和感です。

ソックスとストッキングの重なりがルーズ

裾口が緩く不安定でズレる

 → この緩さから、ストッキング本来の履き口(膝下)が支えきれず、太ももまで引き上げて着用する傾向が見られます。特に女子選手の間で頻出する工夫です。

テーピングテープで巻いた部分が窮屈・剥がれる

実はこれらの“些細な違和感”が、プレーの集中力やパフォーマンス、さらにはケガのリスクにまで影響することがあります。

その上で考案したのが、***LTSS SEAMLESS QUALITY®設計***です。

 

結合まで設計する「裾口リブ」

LTSS設計思想のセパレートストッキングは、5cmの高品質リブ編みを採用。

これは単なるフィット性ではなく、「違和感のない接合」を実現するための構造です。

この裾口の位置は、長母趾屈筋や後脛骨筋など足の働きに重要な筋肉を圧迫しないように設計。

だからこそ、履いていても「履いていないような感覚=素脚感覚」が得られるのです。

切って被せる、テープを巻きつけ固定、バンドで押さえる?

これまでのセパレート化は、「一体型ソックスを切って被せる」──いわば応急処置的な対応が主流でした。上下のパーツを組み合わせるために、多くの場合、市販のテーピングテープなどで固定する方法が用いられてきました。

しかし、この方法にはジレンマがあります。

強く巻けば:筋肉を圧迫してしまい、足の機能を妨げる可能性がある

弱く巻けば:すぐにズレたり、たるんだりして安定性に欠ける

実際、「フィットしない」「違和感がある」「見た目が乱れる」といった声が、競技者の現場から数多く寄せられてきました。

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サカストテープ®の役割

LTSSでは、サッカーソックス専用テープ=サカストテープ®を提案。

このテープは、単なる“止め具”ではなく、「接合部を仕立てる」ための存在です。

テープ+裾口の設計が合わさることで、上下がなめらかにつながり、段差のない“シームレスな一体感”が生まれます。

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足と脚はつながっている──だから“分け方”が重要になる

LTSS設計思想では、セパレートストッキングをただ「脛やふくらはぎを覆うパーツ」として捉えるのではなく、足部との連動性を含めて設計することを重視しています。

なぜなら、足と下腿(脚)は機能的にも構造的にもつながっているからです。

ふくらはぎの筋肉は足首を通じて足の動きに大きな影響を与えます

ストッキングがふくらはぎの動きを妨げれば、結果として足の感覚・動作にも支障が出る

履き口(裾口)の設計が不十分であれば、そのつなぎ目で“ちょっとしたストレス”が生まれる

LTSSでは、こうした身体の構造を踏まえ、下腿部の形状に合わせた立体設計や、周囲・長さによるサイズ選択独自の裾口構造を導入しています。

こうした設計はすべて、「切って履く」ための発想ではなく、“動きの連動”を損なわずに支える”セパレート“であるべきだという身体理解に基づいています。

品格も守る、“接合部設計”の未来価値

セパレートソックスが広まるにつれ、乱れたソックスの着用スタイルも増えました。

履き口を太ももまで引き上げている、ストッキングがダブついている──そんな見た目が「サッカーの品位」を損ねることもあるかもしれません。

***LTSS SEAMLESS QUALITY®設計***は、単にパフォーマンスを高めるだけでなく、

選手の身体とサッカーの美しさの両方を守る仕立てでもあります。

違和感ゼロの接合部がもたらす価値

セパレート構造の本当の価値は、「分ける」ことではなく、「つなぐ」ことにあります。

セパレートなのに、セパレートを感じさせない(素脚感覚)

たるみがなく、ソックスが安定している

•長母趾屈筋、後脛骨筋などを圧迫しない

見た目にも美しい

こうした理想的な接合部の完成こそが、“完成されたセパレートサッカーソックス”を構成するひとつの要素であり、LTSSの設計思想の真骨頂です。

次回は、LTSS 設計思想が目指す、切らなくてもよい文化の始まり──世界と日本の選手の声から読み解くソックスの課題

LTSS 設計思想セパレートストッキング特集第5回

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フットボールクリエイター 角田壮監

足とシューズの最適化で競技者本来の力を引き出すという視点から世界初のサッカーソックスの構造を分離させ完成されたセパレートサッカーソックスLeg Tool Separation Systemを考案。

「競技者本来の力を引き出す」ためにを理念に、グローバルシーンで実績を残している様々な競技のトップアスリートや競技団体のマネジメントやディレクションで培った「競技力向上のための組織づくり」をはじめ、社会にスポーツが持つ有益な効果を生み出すためにスポーツシステムコーディネーター、スポーツプロデューサー、プロジェクトコンサルタントとして、次世代ニーズを見据えた魅力ある競技スポーツシーンの創出に努めている。

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また、創業者・企画者としての精神をもとに、理念や目的を共有できるパートナーの育成や、持続的かつ自走可能な組織づくりを支援するシステムコーディネーターとしても貢献。さらに、競技者一人ひとりが本来持つ力を引き出すメンターとして、競技スポーツの発展にも寄与しています。