
LTSS設計思想 着圧インナーストッキング特集|第3回 部位別に考えるサッカー用インナーの役割──“足部・下腿部”から始まる構造の再設計
2025.07.13
足裏・足指・ふくらはぎ──
それぞれの部位には、それぞれの役割がある。
本記事では、サッカー選手の足を構成する「足部」と「下腿部」に着目し、従来の“一体型ソックス”では実現できなかった構造的な最適化について解説します。
LTSS設計思想が示すのは、単なるソックスの改良ではありません。
足と脚、それぞれに最適な“インナー”を装備することで、サッカー用ソックスを再定義する──その挑戦です。
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グリップソックスを履くために、従来のソックスを切って履く選手が増えています。
この行動が意味するのは、「一体型ソックスでは対応できない構造的な問題」があるということ。
LTSS(Leg Tool Separation System)は、足部と下腿部を分離し、それぞれに適した構造を与える再設計思想です。
今回は、“なぜ分ける必要があるのか”を部位ごとの役割から紐解き、セパレート化の本質を明らかにしていきます。
目次
部位ごとに異なる「求められる役割」
– 用具ではなく、“足そのもの”の機能から考える
サッカー選手の足には、「動かす」「支える」「感じる」といった高度な機能が求められます。
そしてその機能は、足部・下腿部・大腿部といった部位ごとに異なることが前提です。
にもかかわらず、従来のサッカーソックスは、つま先から膝下まで一体構造。
本来、部位に応じて変えるべき“設計の自由”が奪われていました。
LTSSはこの構造を見直し、それぞれの部位に合わせた最適な設計を提案しています。
足部:素足感覚を支えるインナーとは?
– LTSS設計ソックスはサッカースパイクのインナー
LTSSのセパレートソックスは、サッカースパイクの中で「素足感覚」「足裏感覚」を最大限に引き出す**“足部のインナー”**として設計されています。
• アーチ構造や足裏の感知機能を妨げない薄さと密着性
• 蒸れ・ズレ・擦れといった不快感への対処
• 足とシューズの“最適な一体感”の追求
単にグリップを強化するだけでは、足の機能は引き出せません。
本質的には、「感じる」「支える」「動かす」──そのすべてを可能にする**“足そのものの構造”を支える設計**が求められます。
下腿部:締めつけない着圧と“ふくらはぎの自由”
– 着圧インナーはセパレートストッキングのインナー
一方、下腿部には「血流を助ける」「筋肉を守る」「むくみや冷えを防ぐ」といった役割があります。
ここでは、段階着圧によるコンディショニング機能が求められます。
LTSSの着圧インナーストッキングは、セパレートストッキングの内側に履く**“下腿部のインナー”**として設計されています。
• 動きを妨げない段階圧設計(FS-9000)
• 蒸れない・ズレない編み構造
• ストッキングとの重なりを考慮した設計
下腿部に自由を与えることで、足の動きも解放される──。
この考えが、LTSSにおける下腿部設計の根幹です。
一体型では解決できなかった構造的課題
– 「しかたない」を構造から解決する
かつてのサッカーソックスは──
「厚すぎる」「ずれる」「すねあてが浮く」など、数々の“しかたない”を抱えてきました。
そして、ふくらはぎがきつくて穴を空けて履く。
これは、ソックスの設計が身体の構造に追いついていなかった証です。
LTSSの分離設計では、身体の形状と動きに合わせた高品質な着圧インナーストッキングを内側に履くことで、チーム支給のソックスであっても、自分に“フィットする自由”を手に入れることができます。
完成されたセパレートサッカーソックス(LTSS)
– 次世代はシステムを装備する
LTSSでは、足部においては、サッカースパイクが外的要因からの保護と動作機能の担保を果たし、その中に装備する**セパレートソックスが“足部のインナー”**として、素足感覚・足裏感覚を最大限に引き出します。
一方、下腿部では、段階着圧インナーストッキングを肌に直接装着し、その上からセパレートストッキングで**すねあてを覆い、脚部全体を保護する“外装”**として機能させます。
このようにLTSSは、足部と脚部のそれぞれに対して、“インナー+アウター”という多重構造のレイヤリング設計を提案しており、それは単なる“分離”ではなく、機能に基づく再設計された**「ソックスシステム」**そのものです。
これまで“1枚のソックス”に全てを詰め込んでいた時代から、
**“部位に最適なインナーを装備する時代”**へ──
サッカーソックスの常識は、今、確かに変わり始めています。
まとめと次回予告
足部と下腿部は、構造も機能も異なります。
それぞれの役割に合わせた最適な設計を施すことが、LTSSが示す**「分離の必然性」**です。
次回は、LTSS設計製品の開発の裏側に迫りながら、
なぜFS-9000(着圧インナー)が生まれたのか?をテーマに、プロトタイプから製品化に至るまでのストーリーを紹介します。
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関連記連
• 第1回|着圧インナーストッキングとは何か?──第2の心臓とサッカー選手
フットボールクリエイター 角田壮監
足とシューズの最適化で競技者本来の力を引き出すという視点から世界初のサッカーソックスの構造を分離させ完成されたセパレートサッカーソックスLeg Tool Separation Systemを考案。
「競技者本来の力を引き出す」ためにを理念に、グローバルシーンで実績を残している様々な競技のトップアスリートや競技団体のマネジメントやディレクションで培った「競技力向上のための組織づくり」をはじめ、社会にスポーツが持つ有益な効果を生み出すためにスポーツシステムコーディネーター、スポーツプロデューサー、プロジェクトコンサルタントとして、次世代ニーズを見据えた魅力ある競技スポーツシーンの創出に努めている。
KAKU SPORTS OFFICE MISSION
アスリート思考で心豊かな社会づくりをクリエイトする
KAKU SPORTS OFFICEは、「アスリート思考で心豊かな社会を創造する」をモットーに、競技スポーツに関わる個人・企業・団体の活動や事業を、的確な視点で分析します。そして、言語・文化・音楽・映像・活字といった多様な“シンボル”を活用し、人と人、組織と組織、企業と企業、人と組織・企業といったあらゆるつながりの中から、最大の相乗効果を生み出す組み合わせをコーディネート。新たな利益システムを構築するコミュニケーションコーディネーターとして活動しています。また、創業者・企画者としての精神をもとに、理念や目的を共有できるパートナーの育成や、持続的かつ自走可能な組織づくりを支援するシステムコーディネーターとしても貢献。さらに、競技者一人ひとりが本来持つ力を引き出すメンターとして、競技スポーツの発展にも寄与しています。